土砂災害警戒区域が進まない理由

土砂災害警戒区域が進まない理由

最高水位-波-注入する

雨が降ると地盤が緩み、土砂災害の危険が増します。各都道府県のホームページでは土砂災害が起きやすい区域を「特別警戒区域」として公表し、地域住民への注意を呼びかけています。しかし、昨年(2016年)3月総務省行政評価局が17都道府県に対して特別警戒区域の指定状況を調べた結果、指定の対象となっている12万5,000か所余りの危険区域のうち、25%で指定できていないことがわかりました。この結果を受け、聞き込みを行ったところ、進んでいない理由に住民の反対があったということです。

なぜ、土砂災害警戒区域の指定に、住民は反対の声を上げるのでしょうか?

今回は土砂災害警戒区域が進まない理由についてご紹介します。

1)土砂災害の種類

まずは、土砂災害とはどのようなものか見てみましょう。

土砂災害は3つに分類されます。

土石流

長雨や集中豪雨によってあふれ出した水が土砂や土石と一体となって流下する現象

急傾斜地の崩壊

斜面の高さが5m以上、傾斜度が30°以上ある土地が崩壊する現象

地すべり

土地の斜面が地下水と重力の影響によって滑る現象

これらは毎年、各地で甚大な被害を生んでおり、その被害を食い止めるために、危険な場所を土砂災害警戒区域と指定し、注意を呼びかけています。

2)土砂災害警戒区域とは

家-石-建物-ホーム-アーキテクチャ

土砂災害警戒区域の定義を見てみましょう。

  • 土砂災害警戒区域
  • 急傾斜地の崩壊等が発生した場合には住民等の生命又は身体に危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域(法第6条)

    その中でも「著しい危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域(法第8条)」を土砂災害特別警戒区域と指定しています。

    指定されている区域では、避難場所の確保、訓練の実施など、避難体制が整備されています。

    3)なぜ、指定が進まないのか?

    外観-水-ランドマーク

    土砂災害警戒区域に指定された地域にはどのようなマイナスがあるのでしょうか?

    住民が反対するさまざまな要因を挙げてみました。

    地価が下がる懸念

    昨年(2016年)10月、長崎県から土砂災害特別警戒区域に指定されたことで、所有地の市場価格が事実上ゼロになったとして、地域住民らが損害賠償を求める訴訟を起こしました。その後の記者会見において住民らは「区域指定で私たちの生活は一変した。住民のささやかな幸せを行政が壊さないでほしい。」と訴えました。このニュースからわかるように、「危険な場所」と周知されることで、地価の暴落を招くおそれがあると懸念の声が上がっています

    建設・販売が困難

    土砂災害警戒区域では宅地開発や福祉施設建設に知事の許可が必要になるほか、崩れてきた土砂の衝撃に耐えられる住宅設計が義務づけられています。また、都道府県知事の許可を取った後でなければ宅地の広告や売買契約の締結が行えないなど、これらの厳しい条件が建設・販売を困難にしているのです。

    安全だと信じている

    長い間その地域に住み、一度も土砂災害に遭ってない住民は「自分の地域は安全だ」と信じ込んでおり、そういった過信が指定の進まない要因となっています。

    4)対処法

    都道府県では「土砂災害の危険性を住民に理解してもらえるように、丁寧に説明する必要がある」としていますが、住民が安全に生活できるように対策工事の実施し、特別警戒区域がいち早く指定解除することが急がれるでしょう。

    また、土地の購入を考えている方は、各都道府県のホームページで砂災害警戒区域がどこにあるかを確認することが大切です。

    5)土砂災害と火災保険

    大雨や台風による土砂災害は水災と判断され、火災保険の補償対象です。

    ただし、補償内容を限定することで保険料を抑えた契約内容の場合もあるので、水災が補償の対象に含まれているかを確認しましょう。

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