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火災保険の知識

【火災保険】全焼と半焼の基準は?保険の補償内容と注意点

火災の被害にあった際、自分の目視だけで全焼か半焼かを見極めることは難しいでしょう。補償を行う保険会社と消防署の判断によって決まりますが、両者の意見が食い違うことも度々起こります。今回は火災保険について、全焼か半焼かについてと、その補償内容まで詳しく解説しましょう。

この記事でわかること

この記事でわかることは、火災保険での全焼・半焼に関することです。

補償条件の定義や、損しないために知っておきたいことまで把握できます。

【全焼】火災保険会社と消防署による判定

保険会社と消防署が判定する定義はそれぞれ大きく異なるわけではありませんが、多少の違いから両者の判定が食い違うことがあるようです。

 

保険会社が“全焼”と判定する定義

簡潔に言うと、“全損”の定義を満たしていれば“全焼”と判定されます。

 

【全損と判定される定義】

 

  • 保険の対象である建物の焼失、または損壊した延床面積が80%以上になった場合
  • 保険の対象である建物の損害額が保険金額の80%以上になった場合
  • 保険の対象である建物が明らかに跡形もなく全焼した場合

 

ただし、“損害面積が80%”などの割合は、保険会社によって多少異なります。

 

なお、火災があった際、柱が1本でも残っていたら全焼とみなされないといった噂が先行していますが、事実ではありません。きちんとした定義にのっとって判定されているため、噂を信じないようにしておきましょう。

 

消防署が“全焼”と判定する定義

消防署が全焼と判断する定義は、以下2点のいずれかを満たす必要があります。

 

  • 建物の焼き損害額が火災前の建物評価額80%以上となった場合
  • 焼け残った部分に補修を施しても、再使用できない状態の場合

 

【半焼】火災保険会社と消防署の定義

次に、半焼と判定される定義を解説いたします。

 

保険会社が“半焼”と判定する定義

保険会社が半焼とする定義は、消防署が【全焼】と判定しなかった場合です。基本的に保険会社には半焼という概念がありません。世間一般的に言われている多くの“半焼の定義”は、地震保険と混同してしまっている可能性があるため、情報の解釈には注意が必要です。

 

なお、火災では焼き損害・消火損害があります。全焼ではない場合は損害の程度に応じた補償がされるでしょう。

 

焼き損害

火災による損失や、焼けたことによる損害

火炎の熱による炭化、溶融、破損、変質した物の損害

消火損害

消火活動によって受けた損害が消火損害

 

消防署が“半焼”と判定する定義

消防署は下記のいずれかの条件を満たす場合に、半焼として判定します。

 

  • 建物の焼き損害額が、火災前の建物評価額20%以上の場合
  • 全焼に当てはまらない場合

 

上記の定義は、消防庁で“半焼”と定義されているものに該当します。

 

【火災保険】全焼となった場合の補償は?

建物が全焼と判定された場合、契約時に設定した保険金額の上限額が支払われます。しかし、その場合に支払われる金額については注意が必要。なぜなら、契約時の保険金額の上限額であって、建物の金額ではないからです。

 

契約時、基本的には建物評価額と同じ金額で設定しますが、保険料を抑えたいということから評価額より少額の設定にしている場合があります。そのような契約の場合、契約時に設定した金額でしか補償されないので注意しましょう。

 

(※)建物評価額とは…火災保険加入時に、対象の建物と同等の建物を、現在建てるとしたらいくらかかるのかを試算した金額

 

なお、時価での契約の場合、補償してもらえる金額が変動します。経過年数分を減価償却した評価額=時価額となり、全焼した家と同等のものをもう一度建築、または購入するために必要な費用よりも少なくなるでしょう。

 

例:10年前に2000万で建てた新築。時間の経過と物価上昇などで今同等なものを買うと2050万円する。しかし、10年経過の減価償却を考慮すると、約1700万円の時価となる。

 

 

【火災保険】半焼となった場合の補償

上記で述べたように、そもそも保険会社には半焼という概念規定がありません。全焼以外となれば、契約保険金額を上限に修繕にかかる費用を補償します。そのため、全焼のために必要な金額および評価額を適切に算出しておくことが重要です。

 

なお、損害額が契約した上限額の80%以上となる場合は、全額補償となります。

 

【全焼ではなくても全額支払われるケース】

 

  • 保険の対象である建物の修理、再建築(再取得)の額が、補償される保険金額の上限を上回っている場合
  • 保険の対象である建物の延べ床面積が80%を失った場合
  • 損害額が再取得価額の80%以上になった場合

 

保険の対象である建物が上記に該当すると全焼という判定となり、全額支払いを受けられます。補償される上限額を超えてしまうと、超えた分は自己負担となるので注意しましょう。

 

火災保険の補償で知っておくこと

火災保険で補償をうけるために、知っておきたいことがあります。

 

1.消防署での半焼≠保険会社の半焼

2.原状回復の費用が保険金額を上回れば全損扱い

3.地震保険の判定定義と混同しがち

4.宿泊費は火災保険の損害費に含まれない

 

上記のことを理解しておくと、いざというときにスムーズです。それでは1つずつ解説していきましょう。

 

1.消防署での半焼判定≠保険会社の半焼

消防署での半焼判定されると、保険会社では半焼の概念がないため、“全焼ではない”という認識となります。

 

なお、判定は以下の順番で執り行われます。

 

①火災して消火後、消防署による全焼か半焼かの判定

②修理業者による原状回復までの金額を見積もり

③保険会社による現地調査・支払額の確定

 

実際に“消防署に半焼と判断されたのに、保険会社からは全焼と判断された”ということは少なくありません。消防署で半焼と判断されたから保険金も全額補償されないと思い込んで抑えた見積もりをしてもらうと、本来支給されるはずだった保険金がもらえない可能性があるので注意が必要です。

 

2.原状回復の費用が上回れば全損扱い

保険会社が定めている全損(全焼)の条件のなかに、“原状回復にかかる費用が保険金を超えた場合”と記載があります。この条件では“原状回復にかかる”というのが重要なポイントです。つまり“元通りにする”ことであり、それまでにかかる費用を超えれば保険会社が全焼として扱うということを覚えておきましょう。

 

3.地震保険の判定定義と混同しがち

前述でも説明したように、火災保険には“半焼”という概念はなく、地震保険の“半損”と混同してしまっています。そもそも、火災保険に加入していないと地震保険に加入できない、ということがあるため、同じように考えてしまう方がいるようです。

火災保険では、半焼・半損という考え方はないということを覚えておきましょう。

 

4.宿泊費は火災保険の損害費に含まれない

お住まいが火災被害にあった場合、住める状態になくホテルなどの宿泊施設に宿泊する人もいるでしょう。しかし、火災保険というのは建物自体の補償を行うもの。そのため、宿泊代までは支払われません。

 

 

 

全焼でも火災保険支払い対象外となる事例

なお、全焼となっていても支払われないケースもあります。

 

1.地震や噴火による火災で全焼した

2.戦争や内乱による火災で全焼した

3.故意的・重大な過失

4.3年以上の経過

 

それぞれ解説しましょう。

 

1.地震や噴火による火災で全焼した

地震や自然災害によって引き起こされた火災は補償されません。この場合は、火災保険ではなく地震保険の補償が対象です。火災保険で補償される内容とは違い、支払われる金額も違うので注意が必要です。なお、地震保険では以下の規定で補償額を受け取れます。

 

【地震保険の補償額】

 

全 損

保険金額の100%

大 半 損

保険金額の60%

半 損

保険金額の50%

小 半 損

保険金額の30%

一 部 損

保険金額の5%

保険金額は時価額においても同じです。

 

原状回復までにかかる費用を保険会社が全額支払いする火災保険と違い、地震保険では損害を受けた建物に支払われる金額は上の表通り、4パターンで決められています。

 

地震保険の補償と火災保険の補償が混同しないようによく確認しておきましょう。

 

ただし、火災保険には標準補償で“地震火災費用保険金特約”がついています。形式上、補償金とは違い“お見舞金”となり、保険金額の5%を受け取ることができます。

 

2.戦争や内乱による火災で全焼した

戦争や内乱で引き起こされる火災や破壊。戦争や内乱で発生した火災で全焼となってしまっても、全額補償はされません。

 

3.故意的・重大な過失

契約者や被保険者が故意的に、または重大な過失があった場合は保険金が支払われることはありません。重大な過失とは、火災が起こることが想像できたのにも関わらず見過ごした場合などが当てはまります。

 

故意的なのか、重大な過失なのかはそれぞれの事例に沿って判断されます。火災保険全般に言えることですが、故意的で重大な過失がある場合は基本的に補償してもらえないことを覚えておきましょう。

 

4.3年以上の経過

全焼後、3年以上請求を行っていない場合は時効となり、保険金の支払いはされません。基本的に保険関連の時効は3年と定められているため、請求は忘れずに行いましょう。

 

【全焼・半焼】火災保険の請求手順

火災が発生し、保険金をもらうまでにおこなう手順は以下の通りです。

 

1.保険会社へ報告連絡

2.必要書類到着

3.速やかに返送

4.保険会社による調査

5.保険金の入金

 

それぞれ解説するので、参考にしてみてください。

 

1.保険会社へ報告連絡

保険会社へ速やかに連絡を取りましょう。この際、保険証券番号を伝えられればスムーズにやり取りがおこなえますが、火災の場合は一緒に燃えてしまっている場合もあります。保険証券が無くても補償は受けられますが、確認するまで少し時間がかかってしまう可能性もあるでしょう。

 

2.必要書類が到着

報告をした後は、保険会社から【保険金請求書・事故報告書】が届きます。案内の内容を確認しながらしっかり記入しましょう。

 

3.必要書類の返送

必要書類の記入が終わったら保険会社に返送します。なお、被害状況が分かる写真やデータ、修理業者からの見積書(報告書)の送付を求められることもあるため、その場合は保険金請求書・事故報告書と一緒に保険会社へ返送しましょう。

 

4.保険会社による調査

次は、保険会社の鑑定人による状況調査です。提出した書類と現場の状況をもとに保険金の支払い対象であるか鑑定し、金額の確定を行います。風災などに関しては調査を省略される場合がありますが、火災に関しては必ず実施されるでしょう。

 

5.保険金の入金

全ての調査が終わり、保険金の金額が確定したのちに契約者の口座へ保険金が支払われます。前述で説明したように、保険には保険法で厳密に定められた3年という時効があるため、迅速に対応していきましょう。

 

なお、火災保険は請求手続きが完了した日を含め、30日以内に入金するように保険法で定められています。ただし、状況によっては延長される可能性もあるため、確認しておきましょう。

 

【注意】全焼補償後は火災保険契約が終了する

保険会社により全損(全焼)扱いと判断され、保険金額の契約に基づいた満額が支払われると、火災保険は終了します。全損(全焼)扱いとなった後は、建物を直したり、新築を立て直したりしたあとに、改めて火災保険に加入するようになるでしょう。

 

なお、加入するときは、無駄な支払いや不足している補償内容などが無いように改めて見直しをおこない、万が一に納得の補償を受けられるようにしておくと安心です。

 

まとめ

今回は、火災保険における全焼・半焼について詳しく解説いたしました。要約すると以下の通り。

 

  • 火災保険の損害判定は、保険会社と消防署で異なる場合がある
  • 保険会社では、半損という概念はない
  • 保険会社では、どのくらいの補償が必要であるかが重要視される
  • 火災保険では、宿泊費まで補償されない
  • 全焼補償後は、火災保険の契約が終了する

 

火災保険の補償範囲・定義を正しく理解し、保険会社とスムーズにやりとりを行いましょう。

執筆したライター

名前:山下 香

夫と子供と祖母の4人家族。8年前にマイホームを購入し、あいおいニッセイ同和損保の火災保険に一括払いで加入しました。我が家は家の庭でBBQをするのが好きで、年に数回楽しんでいます。

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